プロローグ
沙耶 28歳。
沙耶はお嬢様育ちから上流婦人として優雅に暮らしていた。
エリートの夫とは問題もなく、円満な夫婦と思っている。
実は、二人ともが同じような育ちで「夫婦とはこういうものだ」と慇懃無礼に接し疑問も感じず・・特に心が通っていないなど・・自覚すらなかった二人である。
そんな、けだるい平和?のなかで暮らしている沙耶。
に、自分でもよくわからない気持ちが動き始めた。
きっかけは深夜番組で見た、緊縛トーク番組だった。
いやらしい・・侮蔑するようにすぐテレビを切って寝た沙耶だったが、雑誌で有名な「緊縛作家」を知る。
名前は、島津将司。
緊縛を芸術に昇華させた・・と世界でも絶賛されている。
「現代の団鬼六」とも呼ばれていた。
沙耶はその画集を、思わず買ってしまい、描かれた絵に見入る。
どうして・・どうしてか・・目が離せない・・
恥ずかしい・・こんなものを見てるなんて・・そう思いつつも・・