出会い
沙耶の一日は優雅だ。
家の家事をしてくれている女性に、多少の指示を出した後、自室にこもるのが最近の習慣になっていた。
自室で・・つい手に取ってしまうのは例の「緊縛写真集」である。
どんな気持ちがするものかしら・・?
そう考えた自分をはしたなく思い・・
が、そんな毎日の中、沙耶は出会ってしまった。
新聞に、島津画家が今度は素人モデルを使うという記事・・
応募要件は・・絵の完成まで(約二か月間)島津のアトリエに通えること。
25歳から35歳の女性。
島津の指定する緊縛のポーズに従うこと。
条件を満たしている・・
沙耶はとっさにそう思った。
島津は今回、熟女より、その中間の女性で心機一転を図る心づもりだ、と書かれていた。
それから、沙耶の葛藤がはじまる・・
ぼんやりと・・庭へ散歩に出てみたり・・
「奥様 昼食は召し上がらないんですか?」
お手伝いの声にも「食欲がないので・・」と適当に答える。
わたし、私は・・
女盛りの沙耶。
プロポーションには密かに自信ももっていたし、それは夫の自慢でもあった。
綺麗な飾り物のように生活している沙耶。
大きな胸にくびれた腰、女優のよう・・とお世辞を言われる。
・・
広告を手にし・・沙耶は・・